2021/09/10
それはあたしが、まだ中学校に通っているときでした。
この日は気候も暖かく過ごしやすい日だったと今でも覚えております。
そしてあたしの住む田舎には、お祭が盛んなところ。
そのため町民を見れば誰がどこの家の子かすぐにわかるというほどの、田舎っぷりです。
また、観光客も盛んなために、車のナンバーでどこから来たのかを見る、という不思議な流行りもありました。
ここまでが田舎の紹介でした。
ここからが本題です。
あたしは友達3人と遊ぶため、集合するお土産屋さんの前で待ち合わせをしていました。
3人集合し、そのまま細い路地の車道を歩いていたんです。
目的地はあたしの自宅。
ここでは歩道を歩くという概念がない、というか、歩道がほぼほぼないという田舎なため、話弾ませ歩いていました。
ふと、車が急発進するエンジン音が響きます。
エンジンをふかせているのなら、町民ではなかなかいないな、と思って振り返ったんです。
するとなんということでしょうか。
かの有名な“ベンツ”さんがいきなり真横を通り過ぎていきました。
「え?なになに?」
あたしと友達は混乱しつつも、さすがに通報しなきゃと言いあいます。
しかし近くに公衆電話もなければ、当時携帯電話なんてものもない。
が、次の瞬間、そんなものはどうでもいいくらいな衝撃がありました。
それは、“ベンツ”さんが電柱に突っ込んでしまった衝撃でした。
ワクワクしたあたしとは裏腹に、友達2人は叫ぶ。
なんという女子らしさですかね。
女子力皆無なあたしは、興味津々で駆け寄ります。
「大丈夫ですか?」
車は大きく破損しているも、目立ったけがはない様子。
テレビで見るような血痕もありません。
「車が‥‥せっかく買った車がこんな田舎で‥‥‥」
この人、失礼すぎる。
青ざめている事故った男性は電話をしていました。
「あ、もしもし。この町の町長と話がしたい」
何を言ってるんだ?この人。
「せっかく気分よく遊びに来たのに、俺のベンツが電柱にぶつかった!弁償してもらうまで帰らない!じゃ!」
当時幼いあたしでもわかりました。
この人は相当な過剰人間なのだろうと。
「そこのガキ、見るな!」
近くにいたあたしに怒鳴る男性。
まぁこんな人ならあとは大丈夫だろう。
そうわかったあたしはその場から離れます。
最後はしっかりと、“ベンツ”さんの写真と、群馬ナンバーを控えてその場から逃げました。
これがあたしが体験した交通事故の内容でした。